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フォールディング・コスモス
方舟の中に秘められた小宇宙。
芸術がつなぐ世界へ
「一畳敷」の小さな空間に秘められた小宇宙
被爆、そして終戦七十年を迎える広島で、芸術を通してつながる静かな対話。
フォールディング・コスモスは、幕末の北方探検家・松浦武四郎によって創られた「一畳敷」という名の最小空間にインスピレーションを受けたプロジェクトです。「一畳敷」の世界観を現代に置き換え、旅する先々でアーティストやクリエイターから贈られた作品で構成された空間で時間をともにし、日本人の精神性と伝統文化を共有しながら芸術を通して世界とつながり、「対話」と「記憶」による癒しの場を創りあげていきます。
本プロジェクトは、展覧会と呈茶席を含むワークショップ、トークイベント、レクチャーを交えた複合的な企画として、3.11後の2011年7月にイサムノグチの遺作であるモエレ沼公園から始まり、9.11から10年目にあたる同年アメリカのニューヨーク編、翌2012年のイギリスのバース編開催を経て、2013年度はドイツのベルリン、モエレ沼公園、金沢、高松を巡回。2014年から2015年には、フィンランド編とフランス編が開催されました。
今年1月にパリで起こったテロ事件の傷跡が残るフランスで開催されたサヴォア邸編では、建築家ル・コルビジュエの名作住宅に世界中の人々が集い、ニューヨークの9.11を体験した人々との対話が深く記憶に刻まれました。8年前、ニューヨークのイサムノグチ庭園美術館に展示されている「広島の原爆死没者慰霊碑(模型)」の前でアメリカ人の友人と交わした対話からこの企画の構想が始まって以来、広島での開催は長い旅の道標でした。被爆・戦後70周年を迎えた広島での開催を実現するために協力してくださった多くの方々に心から感謝します。広島の地で、世界の人々と対話する時間を共有できればと願っています。
2015年8月 倉島 美和子